伏木久始研究室 http://fusegi.cafe.coocan.jp/

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2013年8月17日 (土)

戦争の事実の風化?

 敗戦記念日の15日,またしても国民の意思を代表するはずの国会議員であり政府の閣僚という立場の人々が靖国神社に参拝して物議を醸している。保守派の自由民主党幹部を筆頭に,超党派の「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」で参拝した議員は102人だったという。当然ながら日本軍の侵略を受けた歴史をもつ各国からは公式に非難する声明が出されたが,当事者たちは他国にとやかく言われる筋の問題ではないと,戦没者への儀礼としての行為の正当性を主張している。安倍首相は15日の日本武道館で行われた全国戦没者追悼式のスピーチで,近年の歴代首相が言及してきたアジア諸国への「損害」や「反省」、「不戦の誓い」には触れることはなかった。
 愛国心が強い私としては,日本が国際社会から“自国中心主義”だと評されることが嫌だし,未来を築く子どもたちに広い視野から相手国の国民感情にも気遣えるセンスをもって国際社会で活躍してもらいたいと願っている。靖国神社にまつられている“英霊”たちは,近隣諸国との関係悪化を招く国会議員の団体参拝を望んでいるだろうか?加害の歴史認識や戦後補償で未解決な問題がある以上,私は教育にも課題があると思っているけれど,このところの教科書関連の問題に危機感を感じている。
 そんな中で大変ショックな事実が報道された。漫画家の故中沢啓治さんが自らの原爆被害の体験をモチーフに描いた漫画「はだしのゲン」を,松江市内の全ての小中学校が「教師の許可なく自由に閲覧できない閉架措置」としていたというのだ。松江市教育委員会は,約20カ国語に翻訳され各国で広く使われているこの作品に対し,「描写が過激だ」として市内各校へ児童生徒への貸し出し禁止も要請していたという。現在、市内49の小中学校のうち「はだしのゲン」全10巻を保有する39校全てが,小中学生に自由に持ち出せない図書扱いにしているというから,夏休みの課題図書・推薦図書に指定されることもないだろう。
 加害の事実を「多様な歴史観がある」として教科書から削除させ,原爆被害の悲惨さをリアルに描いた「はだしのゲン」を封印し,日本の伝統を賛美する路線で養われた偏った愛国心は,さらに「ヘイトスピーチ」やヘイトサイトを増幅させるような気がしてならない。

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コメント

「はだしのゲン」の件。過去の戦争に向き合い続けていない日本を改めて感じた出来事でした。

わたしが子供のころは8月に入ると、太平洋戦争に関する映画が何本もテレビで放映され、子供心にも戦争というものは結局のところ「人と人が殺しあう」ものだと思いました。
また、ひめゆり部隊の映画を見て、沖縄戦の事実や沖縄の方々が経験したことを映像で見てきました。

描写が過激、という理由で自由に閲覧させない大人がでてきたことに危機感を抱きます。

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