バリ島内のドライブ
いつもの海外出張のように国際免許でレンタカーを借りようと思って準備していたけれど,空港からタクシーでホテルまで移動する道のりで見た交通事情にショックを受け,自分で運転することは避けることにした。インドネシアではタクシー以外にも,一日10時間燃料費込み6,500円前後で,運転手つきで車をチャーターする便利なシステムがある。2日目はこれを予約して中学校を参観するついでに島のあちこちをドライブした。
バリ島の人気エリアを過ぎてローカルな水田地帯に移動しても,この国の道路にはおびただしい数の車とバイクがあふれ,激しいレースを繰り広げるコース上にいるような気分にさせられる。片側1車線の道は対向車線にはみ出しながらスリリングに追い越しをするドライバーたち。片側2車線の道になると,車線を無視して3列になることもある車の列にバイクが果敢に車の間を縫って追い越しにかかる。すごい!危ないという感覚は次第に鈍化し,1日契約した運転手が巧みにバイクや車をかわして追い抜いていく力量に感心してしまった。
昔来た当時,警察官は違法者を摘発するよりも賄賂を要求して安い給料の穴埋めにする…なんてことが珍しくなかったけれど,現在も同じような状況が続いているという。でも,以前来た頃と比べて明らかに違うのは,自動車とバイクの数が激増していることだ。
バイクを運転する父親らしき人のお腹の前に小さな子どもが立ち,背中には子どもを抱っこした母親らしき女性が運転手に必死につかまって4人乗りをしている二輪バイク…なんてシーンも珍しくはない。高校生以上の年齢ではバイクの運転が認められているけれど,実際には中学校の制服を着た子も荷台に友人を乗せて走っていた。さらに,乳飲み子を胸に縛って片手を赤ちゃんの頭に添えながらバイクを運転する母親にもたびたび遭遇した。こうしたバイクは2列にも3列にもなって自動車と混在して走っている。こんな道路では事故が起きない方が不思議だし,ドライブが好きな私でも,とても運転席に座ろうとは思えない。バスや鉄道といった公共交通機関が便利に広がらないと事態は悪化する一方だろう。
しかし,よく見てみると自動車もバイクも日本車の割合がきわめて高い。日本の輸出産業が停滞することは困るけれど,これ以上この国に車両が増えるのも歓迎されないことではないか…そんなことを考えてしまうほど現在の路上は危険過ぎるし,渋滞時には交通規則を逸脱した運転が横行する。環境が人々の意識を変えてしまうという実例のように思えた。中学校の参観中に撮った写真よりも移動途中の道路でシャッターを押した写真の方が多かった今日だった。
インドネシア中央部時刻 10日 22:40
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