ニュージーランド南島での学校参観
ニュージーランド南島に来て5日目。マウントクック山麓の全校児童7人の極小規模校の学校参観を皮切りに,様々なタイプの5校を取材した。ニュージーランドの学校にはきわめて広範に現場の裁量権が与えられているけれど,共通しているのは教師が子どもに知識を教え込んでいた25年前までの授業スタイルをやめて,子ども一人ひとりが自分で学べるように学習スタイルのコンセプトを変えたこと。これまで私は北欧諸国の学校ばかりに取材に行っていたからわからなかったけれど,参観させていただいたニュージーランド南島の小中学校でも,一斉画一授業は基本的に行われていなかった。午前中は国語(英語)と算数・数学を核に時間割が組まれ,どの授業も体験的・総合的な学習であり,午後は日本でいうところの「総合的な学習の時間」と同様の「トピック学習」や,芸術もしくは体育などの科目が設定されていた。
日本の多くの教育者の言説は,授業を個別化・個性化すると個人差が助長され,格差が拡大するとのステレオタイプな発想が支配的だけれど,ニュージーランドでの実績を丁寧にみていけば,学習を個別に設定し子ども自身が自分の学習計画を立てて実践していく機会を与えて鍛えていくことが自己学習力を育てることになると思った。
一斉画一授業では個に応じた教育を実現していくことは難しいという事実や,教師の一方的講義で終始する授業では,教師も子どもも十分に能力を生かせないことなどを痛感させられた一週間だった。また,ニュージーランドの学校の多くが,子どもたちに自分なりの考え方を常に吟味する態度を育てているんだなあと感じることが多かった。
来年もニュージーランドに来て,今度は教員養成のシステムを調査すると共に,現職教員がどのように新しい知識技能を補強し,古くからの慣習を破って未来型の指導法を身につけていったのかを調べていきたいと思った。多忙な中,ボランタリーに私の取材に快く協力してくださった校長先生たちに心より感謝申しあげたい。
(ニュージーランド時刻 23:27)
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