エネルギーの懸念
EUは先日の外相理事会で、7月1日までにイラン産原油の禁輸措置を導入することを決めた。イランの核兵器開発疑惑に対する追加制裁となるが、イラン国内のタカ派はホルムズ海峡の封鎖をちらつかせており、原油先物市場では、さっそく原油価格が上昇している。ホルムズ海峡は、ペルシア湾沿岸諸国から原油を搬出する重要な航路であり、日本に向けて航行するタンカーの8割が通過する海峡だから、中東の原油に依存する日本にとってはきわめて深刻な問題だ。
一方、今週に入って東京電力・柏崎刈羽原子力発電所の6号機が定期点検のため停止したばかりだが、今日から島根原発2号機も停止する。島根原発は1号機も休止中で、建設が終わっている国内最大規模の3号機も運転開始が延期されているため、中国地方の原発はすべて止まったことになる。国内の原発の90%以上が停止中で稼働しているのは3基だけという異常な事態となった。
チェルノブイリ原発事故直後の反原発運動が力を失ってから20年以上がたった今、これまで莫大な国費をつぎ込み、政官財一体となって推進してきた原発エネルギー政策は立ち止まっている。
温暖化対策で原発が推進され、震災の影響で原発が足踏みするエネルギー政策の動揺は、既存の火力発電施設を動かす原油の輸入危機と複合して、日本経済に大きな不安材料となってしまう。税と年金の一体改革も、子育て・教育環境への予算投入も、財源確保への不安が高まり、期待できなくなるのが残念でならない。
さて私たちはどう行動すべきか?
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