伏木久始研究室 http://fusegi.cafe.coocan.jp/

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2011年12月 1日 (木)

就活スタートの日

 12月1日の今日、2013年3月に卒業予定の大学3年生らを対象とした企業の説明会が解禁され、就職活動が本格的にスタートした。これまでより就活が2ヶ月遅くなったのは、大学生が専門課程をしっかり学ぶ時期に就活で学業に専念できなくなる実態があるからで、これを経団連も問題視して方針変更したことによる。一方、面接など選考活動のスタートは4年生の4月1日のまま。数ヶ月以内に内定をとり、10月1日にはそろって内定式を迎えるという流れはこれまで通りだ。

 近年の就職活動は、インターネットの普及とともに大手企業を中心に「リクナビ」などの就職ポータルサイトに会員登録し、それらのサイトを経由して企業に受験エントリーをするか、会社説明会や入社試験の予約を行うのが「当たり前」の状況になっている。就職サイトにしか求人情報を出さないという大手企業も多く、流行のスマートホンは就職情報を効率よく迅速に入手するためのアイテムになるに違いない。
 就職活動が“短期決戦”になったことで、就活のノウハウも変化している。膨大な情報の中から自分が求める企業や職種の情報をどう効果的に入手するかが決定的に重要になり、特に地方の学生が都会に出て就活する場合は、交通費や滞在費の負担が重なるから情報活用能力はいっそう求められている。それにしても、大学でのとりたい授業もサボって就活しなければならない彼らの学生生活を思うと、一人の大学人として心が痛くなる。
 …ところで、日本のように大学新卒者を一括採用するという方式をとる国はあまりない。もちろん、大学在学中に就職活動を行ったり、特定の時期に大学生がリクルートスーツに身を包んで一斉に就職活動を行うといった光景を見ることもできない。「女性はズボンよりスカートの方が印象がいい」というようなアドバイスや、「好印象を与えるメイク」などという話も、諸外国では理解されにくいだろう。北欧デンマークなどでは、高卒後あるいは大学を卒業してからでも、海外遊学した経験があるとか、他の仕事に就いていたとか、回り道を敢えてしている人などがマイナス評価されることはない。むしろ、大学で真面目に勉強しているだけで社会貢献の仕事をしたことがないという人への信頼度は低いという現実がある。なぜ一斉画一的に就職活動をするのか? なぜ新卒者であるかどうかが問題にされるのか? こうした問いも経団連には再検討していただき、私たちも「個性ある人を採用する」と言われていても同じ服装に染まっていく精神構造にメスを入れてみたいものだ。

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