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2011年7月29日 (金)

栄村の復旧を阻むもの

 今年も栄村教職員会の夏期研修会の講師を務めた。村の全校全職員が集う研修会で,村の教育長も午前中の部に参加されていた。4日前の算数科の研究授業と絡めた授業づくりの話題と,あらかじめ設定されていた4つの課題テーマに関わる話題をふまえながら,「栄村ならではの個に応じた指導」について講演するというのが私に与えられた今回のミッションだった。北信小と東部小が合併したばかりの栄小学校では,先生たちも大変な1学期を送られたのではないかと思う。村全体の教職員数は減ったが,先生たちの温かなハート,ひたむきな研修姿勢に関するエネルギーレベルは減るどころか,むしろ活気があったので頼もしかった。

 ところで,栄小学校の校庭の西端には,雪解け後からずっとブルーシートが敷かれた立ち入り禁止ゾーンがある。国から震災被害の調査員が来るまで,復旧工事が必要な「証拠」を残すためだ。体育館も未だに使用できないから子どもたちは休み時間は外に出て遊ぶしかない。雨の日の過ごし方や,短い休み時間の過ごし方が大きく変わり,子どもたちの体力低下も懸念されている。学校としては一日も早く復旧工事をしてほしいわけだが,学校や村が検査前に修理を始めてしまうと,国からの復旧資金を受けられなくなるというお役所ルールが復旧を妨げている。財政に余裕のない小さな村に選択の余地はない。卒業式が体育館で挙行できなくなることを校長先生が心配していた。3月12日未明の大震災の被害を受けた栄村の学校は,今週ようやく国の被害調査を受けることになった。
 なぜ現場を,地方自治体の取り組みを,国は信用しないのだろう?こんな非常時には,例外を設けて早急な対処を優先し,万が一自治体が必要以上の過剰工事をしたと判断された場合には,後から徴収すればいいじゃないか!…そうブツブツ言いながら国が造ってくれた高速道路に上がって,帰り道を急いだ。

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