栄村の震災と卒業式
12日に起きた大きな地震の被災地となった長野県下水内郡栄村を訪れた。大学のトラックを借りて機材を積み,最も遠い秋山小学校まで,雪が舞う山道を3時間のドライブ…。時間で通行制限を設けているルートを進むと,途中の道路はいたるところで陥没,ひび割れ箇所があり,融雪水が道一杯に流れてくる。倒壊した家屋も目撃した。
一度新潟県に出てから長野県内に戻るルートでしか行けない秋山郷の集落に入り,全校児童7名の秋山小学校へ到着。今回は私のプロジェクト経費で購入していた電子黒板を搬入して設置作業をした。帰りに被災者の避難所にもなっている栄中学校に立ち寄ると,地震の影響で体育館は使えず,避難してきた大勢の村民がランチルームで寝泊まりされていた。校舎内は地震で壊れた場所が修理しきれずにそのままになっているが,まだ学校内の破損箇所の点検も終わらないほど,先生方も忙しく年度末の仕事におわれていた。
明日(24日)に日程を延期して挙行される栄中学校の卒業式会場は3年生の教室に変更になっていた。紅白幕が張られ,飾り付けが施された会場に一人入ってみると,先生方の思いをひしひしと感じることができた。卒業生を送り出す担任のT先生は,全員進学先が決まったことを笑顔で話してくださり,校内の見回りから戻った校長先生は,「今年の卒業生にとっては生涯忘れられない卒業式になるでしょう」と,目に熱いものをためて語られた。
長野県で今年度最後の卒業式を迎える栄村の学校の物語を,私も心に刻んでおこうと思う。
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