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2010年11月 5日 (金)

ウィキリークスの影響?

 尖閣諸島沖の中国漁船衝突場面を撮影したビデオ映像がU-Tubeに流出した事件が日本政府にショックを与えている。石垣の海上保安部が捜査過程で編集してから那覇地検に提出したものらしく,映像は全部で44分あまり…6本に分割して公開されていた。国会内外で野党は「国家機密漏洩の重大事件」と喧伝し,米国との安保体制にも悪影響となったと猛攻撃をしている。しかし,その米国でも,先月22日にイラク戦争に関する米軍機密文書約40万点がインターネット上に流出して深刻な議論になっている。「民間人が検問で無差別に殺された」との報告や,米軍兵士が理不尽な理由で民間施設を丸ごと爆破したという報告をはじめ,民間のイラク人カメラマンが手にしていた望遠レンズ付きのカメラを機関銃と見間違えて銃撃するシーンも映像で流されている。

 米軍のイラク情報をリークしたのは,インターネット上の「ウィキリークス(Wikileaks)」という内部告発サイトだ。その創設者であるオーストラリア出身のジュリアン・アサンジ氏(39)が昨日のNHK総合テレビ『クローズアップ現代』に登場したので驚いた。当然ながら,彼は米国政府からスパイ容疑で指名手配されているからだ。

 このウィキリークスは,投稿者の身元を知られることなく情報をリークするためのシステムを構築しており,スウェーデン国内の法律に守られて合法的に運営しているホスティングサービスを利用して検閲を受けずに運営している。また,ウィキリークスは,複数の未公開施設にサーバーを配置しているらしく,一切のログを記録しない上に,軍レベルの暗号化技術を使用して機密情報を守っているという。アサンジ氏自身が過去に天才ハッカーと言われていたというのも納得できる。彼はこのサイトの開設理由を「マスコミは政府の言いなりだ。権力の監視役を果たしていない。だからわれわれがその穴埋めをしている」と説明し,「目標は国家権力の不正をただし,より良い社会を作ること。そのために隠ぺいされた情報をすべて包み隠さず明るみに出し,人々に伝えたい」とNHKのインタビューに答えている。

 海上保安庁の船が漁船に衝突された映像がネット上に流出したのは,ウィキリークスがテレビで紹介された6時間後くらいだ。この番組を観た誰かが,その話題性の強さに影響されて,思い違いをしたままU-Tubeに投稿したのではないかと,勘ぐってしまった。

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