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2010年10月26日 (火)

中国からの留学生希望

 今日もまた,中国からメールが届いた。留学の受け入れを希望する履歴書付きのアプライだ。これで今シーズンも8人目くらいになるだろうか。私の研究室では,来年4月からの研究生受け入れも,すでに留学生2名と現職の先生の受け入れを承諾しているので,今はお断りの返事を送っている。留学先を日本に選んでくれたこと,信州大学を希望してくれたことには私としても誠意を示そうと思い,お断りの返事ではあるけれども,丁寧にアドバイスを書いて返信している。でも,その私の返信に対して2通目のメールを送ってくる人は今年はまだ一人もいない。昨年も一昨年も,「ご助言に感謝します」という返事をくれた人が若干名はいたが…。

 さらに今年の希望者メンバーのメールには特徴があることに気づいた。文面がほとんど一緒なのだ。発信先は天津,大連,浙江省など様々だが,自分が学んだ学科での専門分野とか,やがて大学院に進学してからの研究テーマとかを書いていない点も共通している。何となく,留学生として受け入れてもらうための日本語版ガイドをアップしている誰かのサイトをネット上で見つけて,応募者はそこからコピー&ペーストして書き直しているような気がしてならない。来年からは,スカイプ等でネットミーティング(面接)をしてから受け入れるかどうかを判断したいと思っている。

 しかし,中国の学生を単純に責められない事情もある。報道によれば,2011年度の中国の公務員試験の申請が締め切られた昨日の時点で,競争率は全体平均で76倍,最も人気の高かった国家エネルギー局の省エネ担当ポストでは,競争率が4,616倍に達したという。きわめて異常な数字となった原因は,大卒者の深刻な就職難がある。背景には格差や役人の汚職という現在の中国が抱える社会問題があるから,国外で学位を取得して専門職・研究職に就こうと考える大卒者が年々右肩上がりで激増するという構図になる。若者の就職難,未来を建設的に描けない大卒者の悩みは,決して日本だけの事情ではない。

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