口蹄疫問題
先月,宮崎県で家畜伝染病「口蹄疫(こうていえき)」に感染したとみられる牛が発見され,国内外で大きな問題になっている。人には移らない病気らしいが,国際ルールとしては今回の発生国である日本が一定期間の輸出を禁じられるため,海外の業者や日本食レストランでは深刻な影響を受けるという報道があった。国内で殺される牛や豚の数は30万頭を超える見込みだ。家畜も気の毒だが,牛や馬を精魂込めて飼育してきた農民の気持ちを思うといたたまれない。彼らは「ごめんな」と泣きながら,殺すその時まで生き伸びる家畜にえさを与え続けている。
そして,今日22日から,牛豚へのワクチン接種が始まった。まだ感染が確認されていない農場の約16万5,000頭が対象だが,埋却場所が確保されるまで感染拡大を防止することが目的であって,治療や予防のためではない。ワクチンを接種された家畜もまもなく殺処分される。畜産農家は殺した牛や豚の埋葬地を新たに購入し,処分する費用も負担しなければならない。牛肉や豚肉になる家畜だとわかっていても,飼育する農家の人からすれば毎日面倒を見るうちに一頭一頭に愛着も湧いてくるから,今回の処分には自分の体を引き裂かれるような思いで苦しまれていることだろう。
私は小学生の時に自宅で飼っていた2頭の牛に餌や水をやる手伝いを命じられていた。その仕事から解放された日,つまり牛の出荷の日に,トラックに無理矢理詰められた牛の涙を見た。私も悲しかった。家畜を飼育するプロセスで,人は多くのことを学ぶし,癒される。しかし,今回の宮崎の畜産農家の方々の場合,出荷も出来ず,これまで大切に育ててきた家畜を,感染していない牛豚まで殺すことに時間と資金を投入することになる。私だったら,政府の方針も国際ルールも素直に受け入れられないかも知れない…そう思った。食べるだけの消費者側の私が,この問題に貢献できることは? とりあえずは,ブログに発信しておこうと思った。
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コメント
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種牛が処分された場合、日本の和牛のモトが無くなるわけですから、日本の畜産業は壊滅状態になりますね。
兵庫県南部地震でも政府の対応の遅れで被害が拡大したことがありましたが、今回の一件も然りでしょうか。
テレビ報道だと、関西ローカル(関西テレビのニュースアンカーなど)では早い時期から報道されていましたが、東日本方面(在京局)ではなかなか報道されなかったのが疑問でした。
投稿: 大生@北摂出身 | 2010年5月24日 (月) 20時25分