相撲協会の理事選挙
私は大相撲を日本の伝統文化として大切に継承してもらいたいと思う一人だ。海外出張の際にも,私はしばしば大相撲にちなんだグッズをお土産にしている。しかし,昨日の日本相撲協会の理事選挙をめぐる問題とその報道には違和感と不満を募らせている。「国技」とスポーツの狭間で微妙な地殻変動を起こし始めた角界の今後が注目される。
理事の「選挙」なのに,一門と呼ばれるグループ内では投票する人を事前に示し合わせる慣習があり,筋や義理を通すことが本道とされるようだ。派閥の意向に反して自分の意志で投票行動をとることは「裏切り者」とされる。派閥内での話ならともかく,マスコミまでが「造反者」という扱いでニュースを流す。角界の事情には全く無知な私が身勝手に批評することは不遜だが,スポーツ界のニュースとしてはいかがなものか?それ以上に,民主主義の選挙を教える教師にとって,このニュースを見聞きする子どもたちにとって,今回の一連の報道が与えるマイナス面を私は問題にしたい。
「造反」投票者として名乗り出た大相撲の安治川親方の記者会見が今日行われた。理事選で立浪一門に所属しながら、「素直な気持ちで」貴乃花親方に投票したが「一門に迷惑をかけた」責任を感じて、協会を退職するという。これを世界の人々はどう受け止めるのだろうか。
力士部屋の不祥事や朝青龍事件への対応などをめぐって改革が叫ばれている協会に対して,改革の必要性を痛感した安治川親方は,「自分の1票でああなった。複雑な思いがあった」としながらも「後悔はない。今はすがすがしい気持ちです」と語った。しかし,私は選挙結果が出た後の角界の動きとこの国の報道には,すがすがしさを感じない,伝統的慣習を前提にする考え方のよどみを感じてしまった。日本の相撲ファンは,今回の理事選挙の経緯をどう考えるのだろう?
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