「学年閉鎖」で「体験入学?」
娘が通う学校でもインフルエンザが流行り始めた。そして,おそれていたことが現実になった。連絡網で知らされたのは「5日間の学年閉鎖」…もちろん学童(児童館)にも行かせられない。小学校1年生の娘をわが家ではまだ一人で留守番できるようには育てられてはいない。夫婦ともに仕事を休めない状況だったし,急遽わが子をあずけられるあてもない。翌日は研究授業の指導講師として出張することになっていた私は,娘をその会場校の図書室か空いている部屋にでも居させていただくことを考えた。でもその前に,妻が勤務先の管理職に,小学校内のどこかでわが子を自習させてもよいかと相談することを優先した。都会の学校では,そんな私的な事情による“体験入学”をお願いすることも気がひけるが,長閑で人情味あふれる地域の学校風土に期待して,私たちは「わがまま」を学校に伝えた。
それから2日間,娘は母親が働く「よその学校」で自習を楽しんで過ごした。なんと,出張で留守にされる校長先生のお部屋で,思い切りのびのびと自習をさせていただいたらしい。しかも今日は,持参した弁当ではなく,休んだ子の給食を2年生の教室で一緒に食べさせていただいたという。まるでジブリ映画『となりのトトロ』に出てくるメイちゃんみたいだ。
その学校の子どもたちからも教職員の皆さんからも,ずいぶんかわいがられたという話を妻から聞いて,こういうのが「信州教育」らしさなのかも知れない…と考えさせられた。夜に帰宅した私に,娘は「仲良しになった2年生の△△ちゃんの絵」を自慢げに見せに来た。その絵を大事そうに飾った娘の肩を抱きながら,地域や学校でわが子が育てられていることを痛感した。フルタイム勤務ではない妻は,明日は家に居られる。学校が大好きな娘が,明日の夜に,私にどんな話をしてくれるのだろう?
学校での学級閉鎖や学校閉鎖のニュースが増えてきたこと自体,とっても心配だし,家庭だけでなく学校側も教育課程のやりくりをめぐって悩み事が増える。時間をかけて子どもたちと創り上げてきた学校行事も中止を余儀なくされるケースも出ている。ワクチン対策で国会も論戦が続いたが,みんなが助け合って,共にインフルエンザを乗り越えていく“体験”に参画できたとしたら,閉鎖明けの学校は,娘にとってもますます大好きな居場所になるに違いない。
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