神戸の街
神戸を会場に、日本教育大学協会の研究集会が開かれた。政権交代で教育行政が大きく揺れる最中だったからか、神戸という街の魅力からなのか、全国から各大学の教員養成実務に当たる研究者たちが大勢集まった。中教審の教員養成部会長も務める兵庫教育大学の学長先生をはじめ、教員養成研究のキーマンが登壇したシンポジウムのみならず、私も発表者として参加した「教職実践演習」の分科会場も予想以上の参加人数となった。
昨日の「教育実習部門会議」はベイエリアにある「神戸サテライト」で、今日の研究集会は異国情緒あふれる「北野通り」にほど近いホテルが会場となった。帰りの新幹線の時間まで余裕があったので、駅のすぐ近くに発着所がある「新神戸ロープウェー」に乗ってみることにした。たまたまかも知れないがその時間帯に乗る人は疎らで、私は6人乗りのゴンドラに一人ぼっちで座った。山に上がっていくこのロープウェーは、途中の「風の丘駅」を経由して頂上の「ハーブ園駅」に着くまで、片道10分ほどの展望を満喫できる。夕暮れ間際のパノラマ風景を存分に愉しんだが、一人でこんな素敵な景色に浸っていることがもったいない気がしてきたのでブログに写真を載せることにした。
でも、私にとって神戸といえば、阪神大震災の被災地となった事実が優先される。街があまりにも綺麗で新しい感じがするのは、震災の時にその多くが壊されたことに起因する。あの日…、東京のマンションのリビングでビールを飲みながらテレビで地震被害状況を観ていた私は、被災した住民の多くがラジオも電話も使えず、街のどこがどんなふうにダメージを受けたのかもわからぬまま、行方不明の家族を捜していることを知って、強いショックを受けたのだった。「こんな深刻なことが起きているのに俺はいったい何をやっているんだ!」と自己嫌悪にも陥った。テレビ画面の中で火災が広がっていくこの街の悲劇の映像を、私はずっと忘れられずにいる。そして、今回あの事故後3度目の神戸出張となったが、短期間の滞在ではもう震災の傷跡なんて見つけられなくなった。三ノ宮の駅も神戸の道路も住宅街も、すっかり神戸らしい街並みに再生されている。この街が元気になり、素敵になっていることを心から嬉しく思う。
<長野に帰る新幹線から>
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