伏木久始研究室 http://fusegi.cafe.coocan.jp/

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2009年10月31日 (土)

取材を終えて…

 今回の取材がひと通り済んだところで、昨夜は町のレストランで「打ち上げ」をした。街へ出る際にトゥルクでの初雪を見ることができたが、フライデーナイトの熱気とともに雪はやみ、自宅で食事と晩酌を済ませた大人たちが次から次へと酒場に集まってきた。もとは学校だったという店に入ってみたが、教室がそのままダイニングのスペースにされているユニークな空間でビールを飲むのは不思議と楽しかった。            川沿いの並木道をライトアップしている夜景が素敵だったのでシャッターを押したが、自分の見た目通りには残らない写真の限界を感じた。教室で生き生きと学び続けている北欧の子どもたちを撮影したデジタル画像と同じで、この「よさ」はその場に居合わせないと実感できないのかも知れない。

 1週間のフィンランド出張も今日が最終日となった。でも今日10月31日はこの町の祭日のため、大学も商店もすべてが休みとなってしまう。日本のお盆と似た祭日で、教会には大勢の人が集まっていた。この町の人々のほとんどはキリスト教徒であるものの、参観した学校の幼児クラスでメルヘンチックな衣装に変身していた子どもたちと先生以外は、ハロウィンの仮装姿を見ることはできなかった。

 ところで…

この1週間、多くの素敵な教育者たちと出会った。教育に携わる人々の国境を越えた共通性を肌で感じるとともに、ゆがんだ教育観や教育現場の教育力を壊す政策に対して、ネットワークを築いて対抗し、連携協力していくことを確認して握手でお別れしてきた。また来年9月に再会するまでに、私は彼らにどんなおみやげ話ができるだろうか?世界的な経済危機と新自由主義的政策のグローバライズという困難な事態に直面し、教育予算も削減される傾向にあるこの時期に、ヨーロッパ議会の研究員をされているフィンランドのユッカ氏は私に静かにこう語った。

 今現在の生活を優先するか、将来の生活を優先するかという選択の時に、フィンランドは後者を選び、教育への投資を重視するのです。

 私はこの言葉を深く心に刻んで、帰国の途についた。

フィンランド時刻 10月31日 16:00 ヘルシンキ空港にて 

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