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2009年8月30日 (日)

衆議院議員総選挙の結果

 昔のいわゆる中選挙区型選挙を感覚的に覚えている私たちからすると,今回の選挙結果は民主党が勝ちすぎたという感じがしてしまう。これも小選挙区制のおもしろさであり,怖さなのだろう。投票率が高かったことは無条件に喜びたいが,小さな政党が議席をとりにくい実情をみると,小選挙区制に比例代表制をドッキングしている現制度から,比例代表枠を廃止することには賛成しにくいなあと思った。

 政権選択を最大の焦点とする第45回衆議院議員総選挙は,今日投票が行われ,即日開票の結果,民主党は衆議院の過半数(241議席)を超えて300以上の議席を得て第一党になることが確実になった。これから民主党中心の新政権が誕生することになる。これに対し、自民党は公示前の300議席を大きく減らし,1955年結党以来の最低議席数となる。

 自民党に代わる政権交代は,1993年の選挙結果を受けて発足した非自民の8党派による細川政権以来のことになるが,国民が選んだ第1党による政権交代は,1947年の社会党中心の片山内閣以来で、なんと62年ぶりなのだそうだ。つまり,有権者の多くが,こうした政権交代に自分の一票が関わったという経験がなかったのだ。

 現政権の連立与党である公明党も,党代表をはじめ幹部が小選挙区で敗れている。その一方で,小泉チルドレンならぬ「小沢ガールズ」などとマスコミが騒ぐ新人女性議員が当選している。日本の新しい政治,新しい社会づくりが国民の大きな期待となって選挙結果に示されたわけだ。

 落選した自民党議員のなかには,「党の政策を訴える声がしっかり国民に伝わらなかったことが残念だ」と敗戦の要因を説明する候補者がいて驚いたが,国民から近年の自民党がどのように映っていたのかを謙虚に受け止めてもらいたい。また,旧来からのしがらみ・組織票にあぐらをかいて,国民の声をしっかり聞き取れていなかったことに気づいて,優秀な野党として出直してもらいたい。

 民主党には,今回の当選議員の身をも切る覚悟で国会議員定数を減らし,政官財の癒着とは無縁な,国民の暮らしを優先した政治を断行してもらいたい。ここで国民をがっかりさせたら,自民党よりも罪は重い。この圧勝に浮かれている余裕はなく,これからが民主党の本当の闘いだ。私たちも官僚や政治家に責任を押しつけて傍観するのではなく,主体的に社会の形成者となるべく,できることから始めよう。

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