感染
新型インフルエンザの感染源とされたメキシコでは、一部の地域をのぞいて小中学校がようやく再開された。メキシコの子どもたちにとって、学校の再開がどんなに嬉しいことだったろうか。ずっと気になっていたのは、新型インフルエンザそのものの感染もさることながら、「メキシコ」ブランドや「豚肉」の風評被害の方だ。日本でも一部のスーパーマーケットが理不尽に豚肉を店頭から撤去する動きがあったが、「お客様の気持ちを考えて…」と答える店主は、買い物客に誤ったメッセージを刷り込み、不利益を与えた生産者や流通業者の気持ちをどう思いやったのだろうか?また、某国では単に「メキシコ人」というだけで、感染の疑いもないのに隔離したという報道もあった。日本ではしばしば北朝鮮を敵視するニュースが流れるたびに、朝鮮学校の生徒が通学途中でチマ・チョゴリを切られるという事件が起きるが、今回は世界中のメキシコ人が肩身の狭い思いをしていたことを物語る記事を新聞で読んで悲しい気分になった。
こんな世相にもかかわらず、ニューヨークでは「感染パーティー」が話題となっているというのだ。この種のパーティーは、はしかや水疱瘡などにかかった子どもがいると、ワクチン接種を嫌う親が、我が子に免疫をつけさせるためにわざと接触してうつさせる集会として珍しい話ではない。娘が通っていた保育園でも水疱瘡が流行したとき、「小さいうちにかかった方がいい」という理由で多くの親が感染を期待していたということがあった。しかし、新型インフルエンザの感染パーティーはあまりに危険すぎるとして、先週までに米国の保健当局が警告を発する事態となったらしい。こんなパーティに参加した人から感染したらいい迷惑だろう。
現地に住んでいた日本人家族の多くが国外退避をしたままなので、メキシコ市にある日本メキシコ学院日本コースなどは今月いっぱい休校を延期するらしい。現時点で日本でも4名の感染者が確認されているが、9月に海外出張を控えている私としては、この問題が早く治まってくれることを願うばかりだ。
新型インフルエンザの特効薬の開発は是が非でも急いでもらいたい。それと同時に、先入観で風評被害を巻き起こしやすい人間の意識構造の治療に効く万能薬も、教育の世界で生み出していかねばならない。
« “モンスター”ペアレンツ | トップページ | 人事院勧告 »
「ニュース・社会」カテゴリの記事
- スポンサー(2019.03.22)
- 「ステマ」を見抜くリテラシー(2015.11.03)
- 今年度初の書き込み(2015.07.20)
- 就職部長として(2015.03.08)
- 終戦記念日に思う(2014.08.15)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント