善光寺の宿坊
「宿坊」は「僧房」ともよばれ,本来は僧侶のみが宿泊する施設であったのが,平安時代頃から寺社参詣の広がりと共に貴族や武士も利用する宿となり,やがては一般の参詣者にも開放される施設となった。現在は観光業としてもその価値が高まり,手ごろな値段で精進料理を味わえる食事処になったり,座禅を体験できる場所として一般の観光客や就学旅行の団体客などの人気を集めている。
善光寺の界隈にも,仁王門に通ずる道の脇や仲見世を取り囲むエリアに合計39軒の「宿坊」がある。歴史的には善光寺まで足を運んだ旅の僧や信徒のための宿泊施設の機能を担ってきたユニークな寺でもあり,宿坊ごとに御堂があり住職がいる。各宿坊の住職は毎朝の「お朝事」のため善光寺本堂にあがる。つとめを終えて戻ると朝食を済ませ,弁護士としての仕事に出かけたり,会社勤めなどの兼業の仕事に出かける。
天台宗の大勧進を本坊とする宿坊には「尊勝院(そんじょういん)」や「円乗院(えんじょういん)」など「…院」と名付けられた25の宿坊があり,それに続いて「兄部坊(このこんぼう)」や「淵の坊(ふちのぼう)」など「…坊」と名付けられた浄土宗の大本願を本坊とする14の宿坊が並んでいる。
この近所に転居してきて最初に魅力を感じたのがこの「宿坊」だった。その中でも「常智院」さんとは昼食の精進料理を世話していただいた縁からすっかり仲良しとなり,毎年のように現職教員の研修講座等を担当する際に,受講生をこの宿坊に連れてきて仏教的世界観と文化遺産を学びつつ精進料理をランチメニューにして受講生に宿坊体験を提供してきた。今年も大学院生対象の「総合学習指導法特論」という授業では,恒例の「食文化」&「食育」を考える教材研究と称し,最終回に女将さんに自家製の旬の素材について解説をいただきながら,ありがたく特別メニューの精進料理を味わうことにしている。メタボリックという警告が人ごとではなくなってきた私にとっては,女将さんの料理はもはや観光としての楽しみではなく,切実な「体の構造改革」の動機づけにもなるのだ。その効果を生かすためにも,適度な有酸素運動を私自身の「お朝事」としたいと常々考えてはいた。そろそろ長女にならって,朝のジョギングを始めるとするか!
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