善光寺の中日庭儀大法要
昨日の雨の土曜日,善光寺では御開帳の期間中の重要行事の一つ、浄土宗の中日庭儀(ちゅうにちていぎ)大法要が行われた。今回の儀式は善光寺住職を任される二人の大僧正のうち,大本願の住職・鷹司誓玉(たかつかさせいぎょく)上人(79歳)が採りしきる法要である。善光寺の南側に接する大本願から出発した朱傘の行列が雅楽を伴って本堂前まで行進し,浄土宗の14坊の住職らが回向柱の前で経を読む。山門の下では赤白の狩衣(かりぎぬ)を着た女子小学生12人が,善光寺の御本尊をたたえる礼讃舞(らいさんまい)を舞う。そして住職一行が本堂の回廊を巡りながら、蓮の花びらをかたどった散華(さんげ)と呼ばれる五色の紙をまく。その色紙を手にすると御利益があると考えられている。
ところで,善光寺大本願が全国で唯一の浄土宗尼僧寺院の大本山であることを私は今回初めて知った。つまり,女性が住職だったということだ。そこで色々調べてみた。
善光寺上人を兼ねる大本願住職は,昔から代々皇室とゆかりのある公家や大名家に連なる女性が継承してきたらしい。現在の鷹司誓玉上人は第121世法主であるが、藤原氏につながる五摂家の1つ,鷹司家の出身だそうだ。慶応大学卒業後に大学助手として服装史の研究をされていたが,1955(昭和30)年に25歳で出家されたことで話題になったこともあり,善光寺に入山された日には,長野駅前から善光寺参道にかけて約1万人が出迎えのために詰め掛けたとされる。修行生活では世俗の価値観との違いにずいぶん驚くことがあり,大本願では書庫の史料をもとに歴代上人の伝記を綴られたという研究肌の大僧正である。今回の御開帳は、入山してから9度目で,上人としては3回目の法要となった。全日本仏教婦人連盟の名誉会長でもある。
これに対し,天台宗の中日庭儀大法要は5月9日に予定されている。善光寺の住職を任されるもう一人の小松玄澄(こまつげんちょう)大勧進(天台宗)貫主(75歳)が採りしきる法要である。こちらは「上人(しょうにん)」とはいわず「貫主(かんす)」と呼ぶ。歴代の貫主は慣例として比叡山延暦寺から選ばれてくるという。前回の2003年は先に天台宗の大法要が営まれたが,今回は順序を替えて浄土宗の法要から始まった。あまりの人混み(前回は史上最高の628万人)に,近所に住みながら、じっくり見学もせずに終わった前回の御開帳だったが,こうして色々調べてみると,なかなか興味深い宗教行事であり,門前町の住民としても,さすがに無関心ではいられなくなってきた。この地に転任してきた縁を,大事にしたいと思った。
「ニュース・社会」カテゴリの記事
- スポンサー(2019.03.22)
- 「ステマ」を見抜くリテラシー(2015.11.03)
- 今年度初の書き込み(2015.07.20)
- 就職部長として(2015.03.08)
- 終戦記念日に思う(2014.08.15)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント