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2009年4月20日 (月)

善光寺の御開帳

 我が家から徒歩5分くらいのところに1400年の歴史を持つといわれる善光寺がある。善光寺本堂に安置されている御本尊は654年以来絶対秘仏とされ、その後は誰もみた者がいないという。その由来を伝える『善光寺縁起』によれば、この阿弥陀如来は天竺(インド)でつくられ、後に百済に渡り聖明王によって手厚く祀られたものが、仏教伝来とともに日本に献じられたとされている。しかし、当時の国内の論争の中で物部氏により難波で捨てられていたものを、信濃の本田善光が背負って故郷に持ち帰ったのが善光寺の始まりだとされる。

 この御本尊の分身として「前立本尊」(重要文化財)がつくられ、これが7年に1度この「御開帳」の時だけ姿を見せることになる。舟形光背を背にして中央に阿弥陀如来、右に観音菩薩、左に勢至菩薩が立つことから「一光三尊阿弥陀如来」と呼ばれる。(ちなみに右の写真は善光寺事務局作成のリーフレットから)

 5/31までの御開帳期間中,阿弥陀如来の右手中指に結ばれた金糸は五色の糸に繋がれ、軒先あたりから白い「善の綱」にリレーされ,本堂前の回向柱(えこうばしら)に結ばれる。その回向柱に触れることで本尊と接したことになり、そのありがたい縁起により御利益があるという言い伝えである。全国から集まる大勢の観光客もこの回向柱に手を触れるために長い行列に並ぶことになる。

 また、善光寺は過去度重なる火災に遭ったものの,現在の本堂は江戸時代中期を代表する寺院建築として国宝に指定されている。昔の仏教界では「女人禁制」の建前から境内に女性が立ち入ることを禁ずる寺院が多かった中、善光寺は女性たちも積極的に受け入れたため、女性を救う寺としても有名になった。さらに善光寺はいずれの宗派にも属さず、すべての人の往来極楽の門として誰でも受け入れてくれる寺院でもあり、ニューヨークで起きた“9.11”同時多発テロ事件の直後にも,仏教徒のみならず,イスラム教徒やキリスト教徒なども含め,世界平和を願う人々がたくさん参拝に押し寄せたというユニークな寺でもある。

  全国260の寺社でつくる「全国善光寺会」(1993年設立)は2年に1度「善光寺サミット」を開いているようだが、その中でも6箇所の“善光寺”が今年タイミングを合わせて同時御開帳を企画して話題になっている。元善光寺(長野県飯田市)、甲斐善光寺(山梨県甲府市)、善光寺東海別院(愛知県稲沢市)、岐阜善光寺(岐阜市)、関善光寺(岐阜県関市)と我が家の近所の善光寺だ。

 御開帳でなくても週末は善光寺参拝客で賑わう周辺一帯は、今は観光客等の車で激しい渋滞となっている。

 平日の今日、修学旅行の代休で家にいた娘も連れて、昼前後の空き時間に境内に歩いていったが、仲見世から本堂までお正月並みの混み具合で、山門から回向柱までのほんの60歩ほどの移動時間を計ってみたら12分もかかっていた。車の渋滞、駐車場待ち時間、参拝行列…などを考えると、遠くからお見えになる方々、お年寄りの方々などの痛ましい姿が気の毒でならない。休日はさらに倍増する人混みに、生活道路までマヒする現状にある実態に対して、観光行政当局が善光寺事務局と英断を発揮して、誰でも受け入れる善光寺にふさわしい解決策をとってくださることを期待したい。

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